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脳科学者が解説!「運のいい人になる5つの法則」
「運を味方につける方法」は確かにあった!科学がつきとめた「運のいい人」への法則とは?
ツキを呼ぶ脳と見放される脳の違い
ツキのあるなしは運命か、はたまた神のきまぐれか?運を味方できる人とはどんな人なのか。誰もが興味のあるところだ。
科学がつきとめた「運のいい人」の著者・中野信子さんは「脳にも個性があり、使い方があります。”運がいい”とされる人たちには科学的に説明がつく行動パターンや脳の使い方があることが分かって着ました。」と話す。
そもそも人間の脳には持って生まれた特徴があるという。セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質の量には個人差があり、さらにそれらの分解の度合いによっても、脳の個性が異なってくる。例えば、セロトニンの分泌量の多い人は安心感が強く、反対に少ない人は不安を感じやすいといった具合だ。
「安心感が強ければいいという訳ではありません。逆に楽観的に成り過ぎて、先を考えない行動をとってしまいがちとも言えます。不安になり易い人は、先を見通す力があり、大怪我をしないというメリットもあるのです。」(中野さん)
このように自分の脳の特徴を自覚できれば、ある程度行動をコントロールできるが、生まれつきの脳の個性をがらりと変えることは不可能だ。そこで脳の使い方を変えることで、「運のいい脳」に変えられるという。
「一般的に運・不運は誰の身にも公平に起きている事です。運のいい人は単に恵まれているのではなく、運をキャッチするのがうまい。それと同時に不運を防ぐような行動や考え方をしているのです。その第一条件が”自分を大事にしている”という点ですね。」
自分を大切にするとは、他人の意見に惑わされず、自分の価値観をしっかり持っている事を指す。これを中野さんは「幸せのものさし」と呼んでいる。人間の脳内には快感を感じる報酬系という回路があり、人助けなど社会的な行動も含め、自分が気持ちよい行動をとると活動する。常に「快」の状態を作り出せる人は、理想の自分と実際の自分が一致している人。つまり自分が好きな人。こういう人は余裕があるため、人を惹きつけ、人から好かれるという。
また「運がいい」事を口に出して言う事も脳科学的に有効だ。
「心の中で”ラッキー”と思うよりも、実際に”運がいいぞ”と口にしたほうが多くの感覚器官が働き、記憶が強化されやすくなります。声に出せば”自分は運がいい”と脳に定着しやすいのです。」
逆に自分を粗末にしている人は、絶対に運に恵まれないと断言できる。「自分はできっこない」と決め付けている人、意見が対立した時に無条件で必ず折れてしまう人などは要注意だ。
「ゲームから降りれば楽ですが、それは脳の使い方の習慣として非常によくありません。自分で何も決められなくなってしまいます。そういう人は、もしラッキーな事が起きても気づく事すらなく、気づいたとしても誰かにむしり取られてしまうんです。」
◎自分を騙さず、不安と真っ向っ勝負する。
かといって無理やり「自分は出来る!」と思い込ませればいいものでもないらしい。
「意思と想像が真逆にある場合は必ず想像の方が勝ってしまうんです。これは「努力逆転の法則」というメジャーな法則です。例えば悪いことが起きそうな予感がする時「きっと大丈夫」と言い聞かせても必ず失敗するものです。ビジネスの場では、かなりシビアなシチュエーションに置かれることがあるでしょう。そういう場合は「どうしよう」という不安は気持ちと真正面から向き合う勇気が必要です。不安を書き出した方が、本来の実力を発揮できるというアメリカのデータもあります。」
◎人の真似をすると脳の回路も似る
職場の人間関係-特に周囲の人に恵まれているか否かは、ビジネスマンの運・不運を決定するする要因のひとつ。そこで出会った人の考え方は想像以上に脳に大きな影響を与えているからだ。
「ですから、成功している人や、この人になりたいと思う人の真似をすべきです。持ち物や使う言葉、企画書の書き方、食べ物、何でもいいのです。その内に脳の回路も似てきて、「あの人ならこの場でどう判断するだろう」という事まで分かるようになってきます。ただし、脳の使い方は一日では変わりません。新しい回路が出来るのには少なくとも3週間かかるとされていますから、意識して3週間続けるといいでしょう。」
大事なのは、なりたい自分に近づいて行く事だ。
「尊敬するのが一番難しいのが自分なんです。自分を心から好きになれた人こそ、運がいい人なのだと思います。」
【脳科学的 運がいい人になる5つの方法】
①自分を大切にする
自分を大事にする姿は、他人にも伝わる。愛車を丁寧に扱うように、自分自身にも心を配る。ピカピカな車なら他人も大切に扱ってくれるように、自分を大切にしている人には、丁寧に扱ってくれるもの。周囲の人間の影響は想像以上に大きいものだ。
②不安と向き合う
出来ない事は出来ないと素直に認めて、「自分は出来る!」と思えればいいが、そうでない場合は「出来る!」と思い込まない方がよい。不安を書き出したり、信頼できる人に相談する事が重要。あえて不安を露呈する事で、実力が発揮できるようになる。
③運がいい人の真似をする
なりたい人の考え方に近づく。成功している人や、こういう人になりたいというロールモデルがいたら、話し方や考え方、ファッションや持ち物まで、ありとあらゆる事を真似してみるといい。やっている事を真似しているうちに脳の回路も似てくる。
④毀誉褒貶(きよほうへん)に惑わされない
運がいい・悪いは自分で決めること。「自分にとって幸せとは何か」という物差しがなく、世間の評判に流されて生きていると、いつまでたっても幸福感に満たされない。運がいい・悪いは「自分なりの幸せのものさし」次第。定義が決まれば、心は乱されない。
⑤常に夢を思い描く
センサーを働かせて幸運の矢をキャッチ。明確な夢がなければ、幸運の矢が目の前に来てもキャッチできないどころか気づかずに見過ごしてしまう。夢をかなえる人、セレンデピティーを発揮できる人は、夢や目標がかなった状態をいつも頭のどこかで思い描いている。
※中野信子
1975年東京生まれ。東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程終了。脳学者。
これって何となく剣道修行の心の持ちように通じませんか。
剣道の「目付け」を社会生活(人間関係・仕事・恋愛)に活かす
良好な人間関係は他者の感情に気付くことができるかどうかにかかっている。これは感覚上のおびただしい数のてががかりを結び合わせる事によって脳が行う離れ業といえる。(J.スバート:モネル化学感覚センター)
他者の心理状態を感知することは、人間関係の中で重要な部分を占めている。上手に感知できないと涙ぐんでいる人の背中を不適切にぴしゃりと叩いたり、緊張して会議の席へ急いでいる同僚を呼び止めてしまうかも知れない。自閉症や統合失調症の人は、他者の感情に気付くのが難しい事を自覚しており、他者とうまくやっていくのに非常に苦労している。人付き合いをする上でこうした社交上のヒントを的確に捉え、相手の感情を正確に見極める必要がある。国の安全保障さえ、感情の感知にかかっている。米国では人の顔に表れる感情が読み取れるよう警察官や警備関係者を訓練するため毎年数百万ドルが費やされている。(Christina Regenbogen)
宮良先生の言葉「剣道をしている人はたとえ自身の器量が少し悪くとも、どんな美人でも口説き落とす事ができる。それは先に相手の感情を感じ取り、相手が望む行動を取れるからである。」
宮古警察署に以前勤務していた宮良先生(剣道七段)が酒宴の場で豪語していましたが、これも「目付け」により相手の感情を読む修行を積んだ剣道稽古の恩恵なのでしょうか。(私にはまだ経験ありませんが・・・。)剣士諸君是非この剣道の「目付け」を社会生活(仕事・恋愛・人間関係)に活かして下さい。ともあれ毎日の修行、修行・・・。
心を読む(脳の司る超越感覚)
「感情を読む」事に関して科学者たちはこれまで主として顔の筋肉と顔面の特徴を感知する役割と担う脳領域に目を向けてきた。しかし最近、情動知覚には人がとっているポーズや話す調子、態度など状況から得られる手がかりが極めて重要である事が分かってきた。そのような複数の手がかりを、潜在意識下で数ミリ秒以内の短時間に収集して整理する脳領域があるようだ。
顔だけでは分からない
左の写真のテニス選手のクローズアップからは彼女が痛がっているか怒っているかのように見える。だが後ろに下がって彼女の全身に着目すると、コートで大勝利を収めて歓喜しているのが分かる。研究者たちは現在、人の感情が必ずしも顔だけで正確に表されるわけではない事を知っている。一般に人間は身体の姿勢や周囲の人たちの表情、声の調子をはじめ表情と関わりのある様々な状況を評価する。相手の表情があいまいであるほど、人は他の情報に目を向ける事が多くなる。こうした組み合わせによって、判断をより信頼性の高いものにしている。視覚だけでなく聴覚など2つ以上の手がかりに反応し、それらを統合する事が他者の心を見抜く第1歩となる。
【感覚の交換機】
科学者らは感情を伝える手段が顔、身体、声のどれであっても、それに対して反応する脳の領域2箇所を特定できた。それらは他者の意思を理解することに関与する社会脳の一部である「前頭前皮質内側部」と生体の動き人の視線の向きを知覚するのに関与する側頭葉の上側頭溝だった。こうした大脳のホットスポットが他者の情動を認識するのに重要な意味を持つデータを収集して分析する交換機として働いているようだ。様々な実験や証拠から科学者たちは脳は情動の内容をいくつかの段階に分けて解読すると考えている。直ちに行動が求められる状況であれば、複数の刺激を組み合わせて直感的な反応を起こさせ、その後にもっと詳細な分析を行いより慎重な行動を誘導するようだ。外見的な表情とともに観察される身体の姿勢や話し方、あるいは匂いが、我々の知るべき事全てを正確に教えてくれるのだろう。
(I know How You Feel 著者 Janina Seubert)
剣道の目付け
【遠山の目付け】
【解釈】打突部位、竹刀、剣先などいずれか一箇所に視線を囚われず遠くの山を眺めるように相手の全身を捉える目の付け方のこと。他に相手の手元を山の麓、肩から頭の線を山の稜線とし、麓も山もどちらも一度捉える目の付け方とも説明される事もある。
【観見の目付け】宮本武蔵
「目付けには観見の二つあり、観の目強く見の目弱く、遠くを近く見、近き所を遠く見ること。兵法の真なり。目の玉動かずして両脇を見ること肝要なり。」
【解釈】「見」というのは目元で見る事であり、「観」というのは心で見る事だとの意味である。武道には昔から「観は心で聞く」というのがある。内なる心で相手の動きを感じて見るのが「観」なのである。「観」は相手の動作を見るのではない、相手の気を見るのである。「遠き所を近く見、近き所を遠く見る事」は遠く離れた所もはっきりと見なければならない。近い所の動作に気を囚われていると、遠くは見えなくなる。敵の動き全体を見るのが肝要だとの事である。
以上の「目付け」は現代脳科学者たちが検証している「相手の心を読む方法」を先取りしているといえるのではないか。
武道はもともと命のやり取りの業である。勝負に勝つにはいかに相手の心の動きを感知するかが重要である。自身の命を掛け実戦を重ねて導き出した「目付け」。約400年も前に完成した「目付け」。達人たちの科学を超えた研ぎ澄まされた感性にただ驚嘆するばかりである。
「観」の目を養う修行とは
どうすれば相手の心を読む事ができるようになれるのか
それではいったいどうすればこの「観」の目を得ることが出来るのだろうか。これについて宮本武蔵は自らの著「五輪書」の中の「地の巻」で次のようにアドバイスしている。
①邪心を無くして実直に物事に取り組む事。
②鍛錬を怠らない事。
③兵法以外の諸芸に触れて視野を広げる事。
④もろもろの仕事の道理をわきまえておく事。
⑤物事の損得を見分ける事。
⑥物事に対する鑑識眼を養っておく事。
⑦目に見えない事に注意の目を向ける事。
⑧物事の細部を大事にする事。
⑨成果の期待できない事には手を付けない事。
「我に師なし」といい自らの感覚で新境地を開いた武蔵。400年たった今でも輝きを失わない非常に実践的で合理的な言葉ですね。
近代科学の祖、物理学者のニュートンは、りんごが木から落ちるのを見て「万有引力の法則」を発見した事について、人から「たったこれだけの事で、よく気がついてものだ。」と感心されたとき、「常に私はその事について考えていたからね。」と答えたそうです。武蔵の言葉もそのような不断の努力と限界への挑戦から生まれたのでしょうね。やるな武蔵。
「機を知る」ことの脳科学的検証
「脳は行動を起こす数秒前から反応を始めておりしかもその結果まで予測している。」こんなびっくりするような研究内容を九州山口薬学大会の特別講演で聞くことが出来ました。講師は脳科学者の池谷裕二先生(東京大学准教授)です。先生の脳波計を使った実験から導かれた結果を要約すると、本人が手を「動かそう」と意図した時には、脳はその0.5~1秒前にすでに動かす準備を始めており、さらに最近の研究では7秒も前に準備が始まっている場合もあると言う事です。また別の事例ではあなたが好きな映画を思い出すとする場合、それを思い出して意識に上るよりも先にその映画に関する海馬(脳の一部分)がその1.5秒前に活動を始めている事が確かめられているそうです。つまり脳科学者が脳波計を観ていれば次にあなたが何をするのかその内容をあなたより先に知ることが出来るという研究結果でした。しかも別のゴルフのパター実験ではパターを打つ前にそのパターが入るか外れるかまですでに脳波に現れているとう「脳の結果予知」という劇的な実験報告もありました。剣道に限らず武術の名人、達人は相手の体型や動作を見ただけでその実力や作戦など心の内まで感知すると言われ現にそのような内容の逸話は多く残されています。例えば中西派一刀流の寺田五郎右衛門は対峙する相手が「小手にくるのか」「面にくるのか」全て言い当てて相手が動作を起こす前に勝負を決めたという話もありますし、現代では全日本剣道選手権大会で優勝6回準優勝2回という偉業を成し遂げた宮崎正裕先生もその著書の中で「相手が面に来るよ」という声が聞こえる。と書いています。名人、達人はまるで優秀な脳波計を持っているようですね。神業と言われた名人、達人の業は現代の脳科学が実証した脳の「行動予報」「行動予知」というべき働きから解明されるかも知れませんね。剣道の面の速さは約0.2秒(世界最速の高鍋進は0.1秒)と言われており、その行動を1秒または数秒前から察知できるとすれば鼻歌まじりに余裕で勝ちを得る事ができる訳ですが、さてその体内脳波計を得る方法は残念ながらまだ発見されてないようです。これからの脳科学の研究に期待ですね。
愛想笑いの効用
脳を勘違いさせるスマイル
愛想笑いは心から楽しんでいる自発的な笑いとは明らかに違います。愛想笑いは直ぐに消えて跡形も残らないのに対して自発的な笑顔は長く残りゆっくりと消えていきます。この2種類の笑いに使われる筋肉は異なっており、筋肉をコントロールする脳の回路も別なのです。自発的な笑顔は脳の無意識な反射に対し、愛想笑いは意識的な筋肉の収縮なのです。
しかし、この愛想笑いの効用が最近注目されています。なぜなら、表情は感じた事を外に表すだけではなく、感情そのものを生み出す働きがある事が分かって来たからです。例えば、額にシワを寄せて顔をしかめると、筋肉の動きから脳は「何か悪い事が起こっている心配だ」と判断し、その信号が筋肉に伝わって更に顔が歪み、その信号が再び脳にフィードバックされると脳は心配の原因を無理やり見つけ、心配は確固たるものとして意識される。と言われています。実際、こんな実験があります。美容整形で額のシワを消すときに使われるボトックスは筋肉を麻痺させるため、額をしかめる事が一定期間できなくなります。その際、心境を聞いた所、不安感や心配事が減って満足感が高くなったと答えています。この満足感はシワが減った為ではなく、顔をしかめる事ができないため何の心配も無く幸せだと脳が勘違いした結果なのです。
愛想笑いも続けていると、幸せな気持ちになるかも知れませんね。
(参考文献)「新・心と脳の地形図」原書房
なるほど「笑う門には福来る」的な感じですね。そういえば先日ディスカバリーCHで「しっかりした笑顔の人は将来幸せ若しくはリーダー的存在になる確率が高い」という内容番組を見ました。これもまた何か関係がありそうですね。
笑顔で打突
上記内容とは直接関係ありませんが、以前「剣道日本」で「笑顔を作る気持ちで打突動作をするとスムーズに出来る。」という記事を読んだことがあります。この事は他のスポーツでもよく言われることなのですが、要するに笑う動作で筋肉の緊張が解け、運動機能が働きやすくなるという事らしいです。腕を動かす動作は大小合わせて約70の筋肉の連動した働きと言われます。これらをうまく統合して動かすには心と体ののリラックスが欠かせないのでしょう。笑顔を作る事でそれが可能となる訳ですね。
それに笑顔で打突動作を行う事は、動作をスムーズにするだけでなく稽古を楽しく思える(錯覚する?)という一石二鳥の効果があると言う事にもなるんですねえ。剣士諸君、笑いながら相手を切りましょう。
そういえば以前、県剣道連盟の嘉数先生(七段・竹刀の巻上げで有名)に稽古をお願いした時、嘉数先生が面の中で常に笑っている様に見えたので、稽古の後「先生笑ってましたね。」と尋ねると「いやいやそんな事はないよ。」との答えでした。あれは自然にリラックスしていた結果の笑顔でしょうか。それとも未熟な俺を痛めるのが楽しかったのでしょうか。はて。
腸内細菌と脳との相互作用
ストレスによって腸内細菌叢が変化することは1940年代から報告されています。更に最近腸内細菌が脳に影響を与えてる事が明らかになりつつあります。
身体的・精神的ストレスは有益菌を減らし有害菌をふやす
身体的ストレスによって腸内細菌叢が変化することは古くから動物実験などによって報告されています。例えば数日間絶食させたラットやブタ、過密状態で飼育したラット、母サルから離された子サルは、大腸菌やブドウ球菌などの有害菌が増加し、乳酸菌やビフィズス菌などの有益菌が減少します。この現象はストレス関連行動と相関しストレス行動を多く示した動物は容易に感染症に陥りやすくなる事が明らかになっています。ヒトにおいては、怒り、不安、恐怖などの精神的ストレスによって腸内細菌叢が動物実験と同様に変化する事が知られています。このようにストレスに暴露されると病原性の感染症を起こしやすくなりますが、そればかりでなく慢性的なストレスは神経細胞などのアポトーシスを促進し記憶などの高次元機能が深刻な障害を受けることも明らかになっています。
腸内細菌が脳のストレス反応に影響を与える
上記とは逆方向に腸内細菌もまた脳のストレス反応に影響を与えています。そのメカニズムは①迷走神経、脊髄求心性神経を介する経路②免疫系を介する経路③腸内細菌由来の生理活性物質を介する経路などが徐々に明らかになって来ています。(須藤信行 腸内細菌雑学)
ソマティック・マーカー仮説
腸を刺激するとその信号は脳に伝わり、身体情報として記憶されます。つまり私達は誕生以来の膨大な身体情報を脳に蓄えているのです。そして私達が意思決定や行動選択する際に、蓄積された身体情報が重要な役割を果たしているという説があります。これがソマティック・マーカー(身体からの情報)仮説です。例えば60色の折り紙から数枚を選ぶ時、好みで決めますが、しかし、なぜその色が好きかは説明できません。おそらくその色を好ましいと感じる体験をして、その時の感覚が身体情報として脳に蓄えられている。という事です。身体情報は皮膚、心臓など様々な臓器から伝わりますが、特に腸の刺激は情動を司る脳の辺縁系を活性化すると考えられています。それは脳が感じる快、不快は腸感覚と同調している事を意味し、腸と脳の相互作用によって情動・感情が生み出されるとも考えられます。(福士審 内臓感覚)
■ 剣道修行で「腹をつくる」という事 ■
剣道修行に於いて剣道技術がある程度できてくれば、次の段階として「腹をつくる」修行に入る事が求められます。剣道で精神的に忌み嫌うものに驚懼疑惑(きょうくぎわく)という四戒または四病と言われる言葉があります。これは相手と対峙した時に起こる心の動揺や動揺を抑えきれない状態を表した言葉で、驚いたり、懼(恐)れたり、疑ったり、惑ったりする心の状態です。これをいかに制御し克服するかが技量を上げる重要な精神的修行となりますが、その手段として呼吸法を駆使し「腹をつくる」というのがあります。吸気を臍近くの丹田(つぼの一つ)まで降ろしここに満々と気を溜めれば心は静かな湖面の様に落ち着き相手のいかなる動作にも動揺しなくなるというものです。古波藏先生もよく「垂れを押し広げるように」とか「踵で呼吸するように」などとこの修行法について説いていましたが、なかなか僕には会得する事ができません。他の先生の修行本の中にもこの「腹をつくる」事についての記述がよく出てきます。ある先生は「腹ができれば驚こう懼れようと思ってもその感情が沈んでしまい驚いたり懼れたりする事が自然に出来なくなってしまう」と述べてます。先人達が苦労の末編み出した「腹に気を溜める事が精神状態を安定する」修行法は現代の医療科学が明らかにした「腸の状態が脳に影響する」という発見で証明されたと言えるかも知れませんね。
っという事はー。毎日ヨーグルトを飲み、快食快便で過ごす事は日常のストレス解消にもなり有益な剣道修行にもなるということか・・・。